勉強法(追記): プリンストン・オフェンスを発明した男

シリーズ最後になります。

ピート・キャリル・コーチは今でこそ彼の哲学をビデオにまとめて世に出したりしていますが、彼は元々自分のオフェンスを人に伝えませんでした。それは彼が自分でたくさんのコーチやチームを研究して、このオフェンスを作り上げたからです。

昔はキャリル・コーチは、全ての練習を非公開とし、「オフェンスを教えて欲しい」という電話などを受けると(1日4,5回はメールや電話があったのだとか)、「おれがやったことをやってみろ!自分でまずしっかり勉強しろ!」と言い放ち、電話を切ったそうです。

彼はこのプリンストン・オフェンスが注目された際、「何も新しいオフェンスでは無い」と言っていたといいます。以前紹介したレッド・アワーバック・コーチ時代のポストからのスクリーンのオフェンスや、レッド・ホルツマン率いるニューヨーク・ニックス(このチームは現ロスアンジェルス・レイカーズ・ヘッドコーチのフィル・ジャクソンがプレイしていたチームで、彼のコーチングにも強く影響したチームと彼自身話しています。またマイケル・ジョーダンもこの頃のニックスと、最盛期のブルズを、「よく似たチーム」だという話をしています。)のハンドオフ・プレイ、そういったトップチームの良いプレイの粋をまとめ上げたのが「プリンストン・オフェンス」だというのです。

「芸術は模倣から始まる」と言いますが、キャリル・コーチのように、研究に研究を重ねて、全く新しい物を作り出す、ということが本物のプロフェッショナルなのではないか、と考えさせられました。今の時代、いろいろな情報が簡単に手に入り、やれブルーズ・ウィーバーのモーション・オフェンスだ、シラキュース大の2-3ゾーンだ、とDVDなどで「学んだ気」になりやすいのではないでしょうか?

本当の「勉強」というのは、このように「新しい何か」を生み出す域まで到達するものなのかなあ、と。。。

ピート・キャリル・コーチは現在80歳になります。自分はどれだけ努力すれば、こういったコーチに近づけるのでしょうか?まだまだまだまだまだまだ道は遠いですね。

少しでも近づけるよう、一歩一歩、本当に一歩一歩出来ることをコツコツとこなして頑張っていこうと思います。