Team Work②

みなさん、こんにちは。

今回は前回お話した「チームワーク」について、の続編です。

真のチームワークとは、個人個人が自分のために、自分の仕事に徹することである。という、イチロー選手の哲学を前回は書かせてもらいました。

今回は、「チームのために」ということについて個人的な考えをもう少し具体的に書かせてもらおうと思います。

イチロー選手の言っている、「自分のためにプレイする」というのは、決してヘッドコーチが目指すプレイに自分のプレイが合わないから、とチームの方向性を無視してプレイしてしまうようなことではない、というのをここで強調させて下さい。(いつものようにあくまで私見ですが(笑))

選手が真に「自分のために」と考える時、ヘッドコーチやチームの状況を抜きには考えられないと思うんです。「自分が試合に出るためにはどうすればよいか?」、「自分がもっと評価を上げるためには何をすれば良いか?」、その問いへの答えは、「自分の持っている力を精一杯発揮して、チームのニーズを満たす」ということに他ならないと思うんです。この”チームのニーズ”というのと、”自分の力を発揮する”という両方のベクトルが大切なのだと。

例えば、ある選手が「あのヘッドコーチのバスケットだとドライブしちゃいけないから、ドライブが得意な自分は生きない。でもチームのために自分を犠牲にしなきゃいけないから、あえて得意なドライブは封印する」と考えているとします。

この考え方だと、ベクトルは「チームのために」ということだけになります。本当にチームのために役立ちたいのなら、この考え方では成功しない、とそうイチロー選手は言っているように思うんです。本当に自分のことを考えていたら、こう考えるのではないでしょうか?

「ヘッドコーチは密集地帯にドライブをして、ボールを取られてターンオーバーになるバスケットをあまり好まない。出来るだけオフェンスを確率の高いショットで終わるように、という考えのようだ。ドライブが得意な自分が考えなくてはならないのは、密集地帯につっこまないこと。また、ボールが動いてディフェンスに隙が出来るように、オフボールでもうまくスクリーンをかけたり、ボールをつなぐ役割をもっと覚える必要がある。そうすることでもっと自分の持ち味のドライブもも精度があがり、ミスも少なくなるはずだ。」

この考え方だと、自分の得意なプレイを捨てる、という犠牲感は全くないですし、チームの方針にも合っている。結果、この選手のチームへの貢献度は、「得意のドライブをチームのために犠牲にする」と考えている選手よりも高くなると思うんです。逆にこの考え方の選手なら、オープンスペースがあれば、ガンガンドライブする試合もあり得ますよね?得意なことを我慢しているフラストレーションも無いと思いますし、結果、パフォーマンスが上がると思うんです。

スタッフでも同じことが言えると思います。

「チームのために自分が我慢する」ではなく、「このチームのために自分が出来ることを出来るだけ活かすようにする」という考え方をする。

私は大学ではチェンジングのゾーン・ディフェンスをしているチームに属していたので、ゾーン・ディフェンス、オフェンスに関してはわりと知識がある方だという自負がありました。ところが日立は、ゾーンではなく、オーソドックスなマンツーマンで勝負をするプレイスタイルのチームです。JBLという比較的、ゾーンやプレスの少ないリーグでは、そのような知識もあまり役立てるチャンスは無かった、というのが実情です。

最初は逆に「ゾーンをすれば勝てる」と考えていたりしたこともあったんです。他のチームのゾーン・オフェンスなどを観ても、他のチームがゾーンを使っていないことを考えても、それが有利に働くと思ったからです。

その頃の考え方は、「自分のために」という風に考えていたのですが、実はそうでもなかった。本当に自分の活きる道を考えるなら、「日立」という環境、文化を無視することは絶対に出来ないからです。逆に「チームのために」と、我慢して自分の知識や経験を全て我慢して捨て去ってしまう、というのも働く意欲やチームへの愛情を逆に捨ててしまうことになってしまいます。

自分としてわかってきたことは、「このチームのために自分が知っている知識を一番活かすためにはどの分野、どの部分に特化し、力を費やすべきか?知っていることを100%出すのではなく、必要とされる分野に自分の100%の力を注ぎこむ」というパラダイムにシフトすることを覚えてからは、仕事がいっそう楽しくなりましたし、周りへの貢献も増えていったと思うんです。

イチロー選手もそういう意味のことを言っているのではないかな、と。

「自分のために」というのは、周りを見ずに自分のことだけを考えているような了見の狭い考え方ではなく、もっと”プロ”として自分を与えられた環境の中で最もあうように成長させる、アジャストさせる、という意味ではないのか、と。

今回の日本代表では、自分はどんなことが出来るのでしょうか?

第3次合宿までで少しずつ見えて来ました。

これからもっともっと出来ることを探していきたいです。