2010.09.04

Roy Williams②

みなさん、こんにちは。

今日もノースキャロライナ大学ヘッドコーチのRoy Williamsコーチについてです。

今回は、「決断」と「責任」について、感じたことをまとめてみたいと思います。

人生の岐路って誰しもあると思います。

転職でも、チームを去ることでも、引っ越しでも、いろいろと決断を求められることってありますよね。みんなに賛同して支えてもらいたいけれど、周りの人みんなからの賛同を得られることが毎回出来る訳でもありませんし、自分の下した決断から生じる結果、それは成功・失敗ということはもちろん、周りの人との人間関係も含めてすべて責任を取らなければなりません。

長年、カンザス大学でコーチを勤めて、すっかりチームを名門大学に返り咲さかせたRoy Williamsコーチにも大きな岐路が訪れます。ノースキャロライナ大学の伝説的コーチであるDean Smithコーチが引退して、その後を長い間Smithコーチのトップアシスタントとして働いて来たBill Guthridgeコーチが引き継ぎます。そのGuthridgeコーチの後を、ノースキャロライナ出身であるRoy Williamsに継いで欲しいと依頼が来た時の話です。

大方の予想を裏切って、Roy Williamsはカンザス大学に残る決断をします。これが一回目の決断。その数年後に、もう一度ノースキャロライナ大学からオファーをもらい、2度目は、ノースキャロライナ大学に戻る決意をします。その後、2005年、2009年とノースキャロライナをNCAA全米王座に導いたことは皆さんご存知かも知れません。。。

家族のこと、選手のこと、恩師や周りの同僚のこと。。。いろいろな葛藤がある中での決断を随分はしょって書いてしまいましたが(汗)、ここで感じたことは二つ。

一つは、Roy Williamsという名将でも、我々と同じく、悩みに悩んで、結論を二転、三転させて悩んだあげくに、2回の決断をしたこと。「我々と同じく」どころか、この人相当優柔不断じゃないかと親近感を覚えたほど、苦悩した様子が本には赤裸裸に書かれていました。

悩んで悩んで悩んで、最後は自分の心の奥底にある「信念」に従う。これって簡単なようでいて難しいと思うんです。「自分で決める」って、決断が難しければ難しいほど、また家族や恩師、教え子など、周りの人に影響があればあるほど、誰かのアドバイスや、ほかの何かに決めてもらいたくなるものですよね。(天のお告げ的な、”偶然”とか)

でも最終的には自分で決めなければならない。またその責任を取らなければならない。。。

彼がカンザス大学に行く前に、ディビジョンIの大学からのオファーをいくつももらっていても、結局受けなかったのも、この葛藤の末に、「何かがおかしい。何か正しくない、腑に落ちない。」とよく自分でもわからない理由で受けなかったオファーもたくさんあったようです。なんだかよくわからないけれど、英語で言う「Guts Feeling」(最後は心の奥底の直感に従う、というような感じでしょうか)的な感じで決めていたようですが、それも大切なのかな、と。何が正しい決断かは、本当に十数年経たないとわからない場合もありますし、悩んで当たり前だし、難しくても自分で決めていくことの重要性をまた新たに感じ直しました。

二つ目に感じたことは、「決断の責任を取る難しさ」です。

ノースキャロライナのオファーを断った時、ノースキャロライナの恩師や友人の何人かは非常に腹を立てて、中には3年以上も口を聞いてくれない人もいたそうです。

逆にカンザスを断って、ノースキャロライナに行ったときも、今度はカンザスの人が同じような態度を取っていたそうです。

家族や自分にとって最良の選択をしても、周りの人すべてに賛同してもらう、ということは出来ない。ここまで大きな話ではないかも知れないけれど、こういうことって往々にしてよくある話だと思います。仲が良かったり信頼していた人からも、影でいろいろ言われるかも知れないし、どちらの選択をしても、人からの非難を避けられない場合もある。。。

でも、そんな中でも、決断をして、その決断に伴うそういったネガティブなことにもしっかり向き合っていかなければならない。。。まして、そういうことがあっても結果を残さなければならない。。。

33歳になっておいて何ですが、それが大人ってものなんでしょうね〜(笑)

迷うことがあっても、最後は自分で決めて、それに伴うこと全てに向き合える”芯”を持つ。これって大切なんですよね。自分には”芯”があるのかな、とふと考えてしまいました。

2010.09.03

Roy Williams①

今回読んだ「Hard Work」は、すごく刺激を受けた本でした。

何と言っても、Roy Williamsコーチの生き様です。

高校のコーチとして、しっかりとした生計を立てていたにも関わらず(チームは弱かったようですが)、そして子供が出来たばかりにも関わらず、年間$2700の契約でノースキャロライナに戻り、アシスタントになり、いくつもの仕事を掛け持ちしながら、夢を追いかけ続けたこと。スタッツ取りとかバスケットの仕事だけでなく、一日かけて何百キロも車で運転して試合のビデオを届けるとか、そういう単調な仕事でも、お金になることはどんな小さなことでもやっていたそうです。

口で言うのは簡単だけれど、生活をかける、って本当に怖いです。

彼自身、「本当につまらないと思ったし、本当にこんなことをしていて自分は良いのか?と何度も自問自答した」と当時の環境について悩んでいたそうです。でも辞めないことで、次に繋がって、どんどん昇格していった。。。そういえばかっこ良いですが、でも実際にはそんな疑問や葛藤を普通の人と同じように抱えながら、5年間も単調な仕事をこなしていたそうなんです。

辛抱強くやり抜く、という言葉に、Perseverance、という言葉がありますが、本当にその言葉とおり、辛くても一つ一つやり抜いて、今の成功がある。選手として一流じゃなくても、コーチとしても一流のスタートじゃなくても、やり抜けば、必ず次に繋がる。。。

そんな勇気をくれた話でした。

知らない人もいるかも知れませんが、彼はノースキャロライナでアシスタントを勤めた後、強豪大学のカンザス大学に迎えられています。そのため、彼が最初からとてつもなく優秀な人材だったと勘違いしていたのですが、彼はその前にもいくつものディビジョンIの大学からのオファーがあったそうなんです。ただ、もっと小さな大学からのオファーでした。逆にいうと、小さな大学のオファーをもらっても「ありがたい」と思うくらいのコーチでしかなかったようなんです。

それでもその都度、悩みに悩みながら、ノースキャロライナに残る道を選んでいたそうです。

たまたま、ほんっとうに運というか、運命のようにカンザスの話が舞い込んで来て、当時あまりに無名で実績も何も無いRoy Williamsをヘッドコーチにすることにはカンザスでもたくさんの人が反対したそうです。そこからカンザスを名門に育て上げ、ノースキャロライナに戻ってくるまで、名コーチとして、不動の地位を築き上げた。。。

生活を夢にかけるって、かけたことがある人にしかわからない怖さがあると思うんです。

自分の家族からも親戚からも、奥さんの家族からもいろいろ言われますし、実際にどうなるかはわからない訳で、成功や昇進が保証されている訳でも無いですし、そこに飛び込むには相当の覚悟と勇気がいります。

それに目の前の単調な仕事って、本当に退屈だし、やるには相当の根気が必要です。

でも、やり抜くこと、そしてやり抜くからには最高の仕事をすること。それが大切なのだと。。。当たり前のことでも、やっぱりそういうことをしっかりやり抜いている人は本当に強く、その先の試練にも負けないしっかりとした土台が出来るのだな、と。そんなことを感じました。日本でいう「下積み」、例えばお寿司屋さんだと、握りの作り方をいっさい教えてもらえず、師匠の仕事を観よう見真似で覚える、その間ひたすら掃除とか単調なネタの仕込みとかさせてもらえないとか、そういうのと同じようなものなんでしょうか。そういうことにもやっぱり意味があるんじゃないかなあ、とそう思ったのでした。

目の前の仕事をしっかりとこなすこと。単調でも、何でも一つ一つしっかりと。

やっぱりそういう原点に戻ること、大切ですね。

うん。

頑張ります。

2010.09.02

ブックレビュー:Hard Work

みなさん、こんにちは。

本ってやっぱり好きです。結構まとめ買いして、自分がどの本買ったかも覚えてないほど、ずさんな管理しちゃったりする方ですが、本って、なんだかその時その時で、必要な時に出会う物だと思うんです。だから、買っておいてあっても、ふとした瞬間に目についたり、気になったりした時が、「その本に出会う時」なんだと勝手に解釈してます(笑)。

今回も新刊で出た時から買っておいて、放り出してあった本をふと手にとって読んでみたのが始まりでした。

ノースキャロライナ大学ヘッドコーチの、Roy Williamsの「Hard Work」という本です。

彼はDean Smithの下でアシスタントコーチを勤め、その後カンザス大学でヘッドコーチを勤めます。カンザス大学でもたくさんの選手をNBAへ送り出し、ファイナル4も経験している名コーチでした。

そんな彼だから、コーチの息子か何かで、名プレイヤーで、名コーチ路線を走り続けている”サラブレッド”なんだと勝手に思っていました。すごく見た目もスマートで、品のあるナイスガイなので、そんな印象を勝手に持っていたんですね。。。

この本の中で彼は自分の生い立ちや家族についても、詳しく話しています。

父親がアルコール中毒で虐待癖があったこと、母親と何度も別れてはよりを戻すといったことを繰り返していたが、最終的にはRoy Williamsが父親を家から追い払ったこと。

バスケットの選手としては、地方の高校で活躍して、ノースキャロライナ大学のフレッシュマン・チーム(昔は1年生は1軍でプレーできなかった。1年間フレッシュマン・チームでプレイした後、うまい選手は1軍に昇格する。この中でもコーチ・ウィリアムスは最後の最後に試合に使ってもらえるくらいのレベルの選手だった。)でプレイした後、試合のスタッツ取りからコーチのキャリアが始まったこと。

卒業後、高校で5年間ヘッドコーチを勤めたが、ひどい成績しか残せなかったこと。その後、一年間で$2700という条件で、ノースキャロライナのパート・タイム・アシスタントになるが、いくつもの仕事を掛け持ちしなければ、生計を立てられなかったこと。。。

今まで想像していたクールなコーチ・ウィリアムスとはまるで違う、泥臭い、頑張り屋さんのRoy Williamsがそこにはいました。

自分は最近は移動が多く、移動の合間にあっという間に読み切ってしまいました。。。

彼の本を読んで感じたことをこれから数日に分けてまとめておこうと思います。

やっぱり環境や生まれとかに関係なく、すごい人はすごく努力をしたり、機会が来た時に、人と違う勇気ある決断を下している。。。

そう感じました。

2010.09.01

Journey is the Inn

みなさん、こんにちは。

最近、快調に連続更新中です!(いつも一日で書き貯めているので、毎日書いている訳ではないのですが。。。(笑))

最近、読み終えたUniversity of North CarolinaのRoy Williamsコーチの本(これはまたながーく紹介していきます)に、「目的を達成したからうれしい、というのではなく、(例えば全米優勝を狙う)過程を楽しむことが出来るようになることが大切だ」というような話が載っていました。

大好きなJohn Woodenコーチは、「Journey is the Inn」という表現を生前使われていました。直訳すると「旅こそが目的地(宿泊場)である」という意味で、目的地に着くことが旅の目的ではなく、そこに辿り着く過程そのものに、真の旅の目的がある、という意味になります。

いろいろこなして来ましたが、ヘッドコーチにいつなれるかわかりませんが、今いる過程をもう少し楽しむ姿勢が大切なのかな、と。

高校時代、アメリカ大学時代、日本に帰ってからもいろいろとたくさん経験をして、辛いこともありましたが、その経験があったから、今回の日本代表でもたくさん活かせた部分もありましたし、今回の代表の経験からも学ばなきゃいけない教訓もたくさんありました。この過程すべてを楽しんでいく。。。

う〜ん、深いですね〜。

さすが、Roy Williams&John Wooden。

そろそろこのHPの原点に戻って、こういう名コーチ達の言葉や経験を僕なりの眼鏡を通して、紹介していきたいですね。

頑張ります!

2010.08.31

ゾーン・ディフェンスについて

みなさん、こんにちは。

今回は前回の続きです。

かな〜り前のことになりますが、2003年にアメリカにコーチ留学をした際、当時ロングビーチ・ジャムでプレイしていた、田臥選手の試合を見たことがありました。2試合くらい見て、練習も見学させてもらったのですが、その時に感じたことを今でも覚えています。

ご存知の通り、田臥選手は能代工業の出身で当時の能代工業は2−2−1から2−3という伝家の宝刀のシステムで、とにかくアップテンポなバスケットを徹底的に追求するチームでした。

よく、「ゾーンをしっかり教わっていない選手はマンツーが出来ない」などということをよく耳にします。

でも、その試合で見たのは、2−2−1のプレスディフェンス(たしか)をのびのびとプレイしてスティールを量産する田臥選手の姿でした。

あのスティールは高校時代の田臥選手そのもので、逆に「あれは能代に行ってなかったら身に付いていないのではないか」と思ったものです。そのスティールの技術が無かったら、ロングビーチ・ジャムでもポジション争いに支障があったかも知れない。

こういうのはその人が持っている運なのか、生まれついた星のせいなのか、よくわかりませんが、縁、ってあると思うんです。

よくアメリカで「You have to be at the right place at the right time」という言葉を耳にします。意訳すると「チームに合格するためには自分にあったコーチに正しいタイミングで出会わなければならない」という意味です。

一概に、これはだめ、これは良い、ではなく、選手本人のがんばりもあるし、運もある。

クリニックや指導の際、よく口にするのですが、「答えは一つじゃない」。

これってバスケットでも人生でも言えることだと思うんです。

だから、面白いのかな、と。

ふとそんなことを思ってしまいました。