Greeting

皆さん、はじめまして。

私は昨年までJBL日立サンロッカーズでアシスタントコーチをしていた東頭 俊典です。
2009年のアジア選手権が終わり、日本男子代表は過去最低の10位という結果に終わりました。
多くのバスケットボール関係者がこの結果を嘆く中、1つの疑問が胸に湧き起こりました。

「日本は、日本人は、本当にバスケットボールでは活躍できないのか?」

アメリカの大学でバスケットをプレイしてから帰国し、JBLでも2チームでスタッフの経験をする機会を頂きました。
短期間ながらコーチ留学をして、北京五輪で優勝したデューク大学のマイク・シャシェフスキーコーチ、白人中心のラインアップでNCAAのファイナルまで勝ち進んだ経験を持つユタ大学(現在はセントルイス大学)の名将リック・マジェラスコーチ、UCLAを見事に再建した智将ベン・ホランドコーチ、2009年のNBAドラフト1位のブレイク・グリフィンを育てたオクラホマ大学(当時はバージニアカモンウェルス大学)のジェフ・ケープルコーチらの指導にも直接触れることが出来ました。また、日本国内でも全国様々な地域の、様々なレベルの指導者とお会いし、教えを乞う機会に恵まれました。

With-Jeff-Capel

With Coach Capel

With John Wooden 2

With Coach Wooden

Coach K

With Coach K

「環境の差」、「体格の差」、そして「情報の差」

プレイヤーとしても、コーチングを目指す中でも、日米を比べてみて指導者の熱心さ、またバスケットボールに励む選手の熱意の差はそこまで感じられない、というのが正直な感想です。

日本の指導者の方の中で大変な勉強をされている方、思わず「なるほど!」と声を上げてしまう発想力を持った方を実際に何人も知っていますし、クリニック先や講演先でお会いする先生や指導者の方達は本当に「熱い」です。この熱、大和魂は決してアメリカ人にも負けていないと思うのです。

選手達にしても、二部練を終えた後でもひたすらに個人練習を続ける選手、几帳面にノートに学んだことを記録している選手にたくさん出会ったことがあります。こんなに真面目で一生懸命な民族は他にはいないのではないでしょうか?

日立サンロッカーズ試合中の写真

日立サンロッカーズ試合中の写真

バスケットボールの実力が拮抗しているとは、もちろん言っていません。そこには大きな隔たりが、現在はアジアの中でも見られるようになっているのは皆さんご存じの通りです。

この実力の差はどこから生まれてきているのか?自分に何かできることは無いのか?そんなことを考えながら、アメリカから帰国した後の8年間バスケットボールに携わってきました。

昼夜を問わず、指導や試合の準備、選手のためにプライベートを犠牲にしても熱意を注ぐ指導者の方達、その指導者の想いに応えるべく、日夜努力を続ける選手達。。。そんな素晴らしい人材が溢れるこの日本のバスケットボールは本当に強くなれないのでしょうか?

私は「強くなれる」と断言したい。

バスケットボールがどこでもできるアメリカとそうではない日本の「環境の差」、欧米人との「体格の差」は誰もが認める所で、いろいろな議論がされてきたと思います。ただ、私個人は現在の日本ではそれ以上に「情報の差」が大きいように思うのです。

トップコーチの生の情報

マイク・シャシェフスキーコーチが北京五輪でのチームUSAのコーチとしての経験を記した「The Gold Standard」

マイク・シャシェフスキーコーチが北京五輪でのチームUSAのコーチとしての経験を記した「The Gold Standard」

先述したマイク・シャシェフスキーコーチが北京五輪でのチームUSAのコーチとしての経験を記した「The Gold Standard」、伝説のコーチ、元UCLAのジョン・ウドゥンのコーチング哲学本、誰もが知っているフィル・ジャクソンの自叙伝など、日本語に訳されない本の多さ。戦術本やオフェンスやディフェンスのシステムが書かれた本は比較的翻訳が進められていますが、バスケットボール版の「オシムの言葉」や「野村ノート」のようなものが日本では出版されていません。

シャシェフスキーコーチは、「The Gold Standard」という本の中で、北京五輪決勝の第4クォーター残り8分23秒、91対89、スペインがUSAのリードを2点に縮めた後のアメリカのタイムアウト。このタイムアウトで「金メダル以外に成功は無い」という重圧を背負ったアメリカのスター選手達に、どんな指示を出していたのかを述べています。

考えただけでもわくわくする内容ですよね?

テレビの解説でも英語では、元プロコーチ達が具体的な解説を行っています。

例えば、マイケル・ジョーダンをコーチしたことで有名なダグ・コリンズなどが、「このプレイはマーべリックスが3ガードにした時によく使うプレイで、現在3ポゼッション連続で得点を上げています。対戦相手のスパーズのグレッグ・ポポビッチコーチはタイムアウトを請求しました。今後このプレイに彼がどのように対応するのか期待しましょう。以前、私がウィザーズをコーチしていた時には、私達はこのプレイに対してダブルチームで対応していましたが、マーべリックスは全員が良いシューターである上に、このプレイで最後にボールを受けるジェイソン・テリーはダブルチームを破るのが得意なドリブラーのため、ダブルチームをするのは容易ではありません。。。」というような解説をしています。

プロのコーチが自分の体験談などを下に、「こういう守り方に対し、レイカーズはこういう対応に変えた」とか、「昔アイバーソンのドライブには味方のプレイヤーはこうやって合わせるように指示をしていた」、「私のチームでは、スティールを多くするためにこのようなスタッツを記録し、このように指導して、リーグ上位のスティールを記録するようになった」などの話が、試合中繰り広げられるのです。

日本の解説では、一般の人向けにわかりやすい語句でシンプルにバスケットの楽しさを伝えることを求められているので解説の方達は知っていても、あまり専門的なことを話すことは認められない状況です。

ですが、こういったNBAコーチの生の情報を渇望している熱心なコーチがたくさんいるのもまた事実なのではないでしょうか?

おわりに

日本のバスケットボールのために。世界に通じるバスケットボールを見つけるために。

日々、一生懸命悩み、学び、努力しているコーチに、少しでも多くの情報を提供したい。そしてその先にいる選手達の成長に少しでも貢献したい。一夜では変えることのできない「環境の壁」や「体格の壁」だけを嘆くのではなく、目の前にそびえる「情報の壁」を少しずつでも取り壊して行きたい。。。

そんな想いからこのホームページ「Coach Todo’s Basketball Diary –Break the Cultural Wall!–」を立ち上げました。まだまだ勉強が必要な若輩者ですが、少しでも有益な情報をより多くの方と共有できれば、と思います。内容の多くは、海外や日本のトップのコーチから学び、私自身が気付いたことを記録したものです。

皆さんからの情報を共有したり、皆さんからのメッセージを下に新たにリサーチをしたり、バスケットボールのコーチを志す人達にとって意義のあるホームページにできたら、と祈っています。

「強い日本を作るために。」

今の私にできることは些細なことかも知れませんが、まずは第一歩を踏み出したいと思います。

2009年11月16日
バスケットボールコーチ
東頭 俊典